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The Adam Project アダム&アダム

アメリカ映画 (2022)

製作費1億1600万ドルと、Netflixとしては高額の資金を投じたSF大作。邦題の『アダム&アダム』が示すように、2050年からやってきた大人のアダムと、そのアダムによって2022年から2018年に連れて来られた12歳のアダムが 同じ重要度で活躍するユニークなタイム・トラベルもの。タイム・トラベルという意味では、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作が、最も古典的で、大ヒット作品群でもあり、かつ、過去への介入による未来の劇的な変化を何度も見せたという意味で、革命的であった。このサイトでこれまで紹介した中で、『バタフライ・エフェクト』(2004)も、過去への干渉が中心で、その完成度は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の “お遊び的” なものとは違い、もっと切実で、ある意味、現実的だった。もう一つ紹介済みなのが『タイムトラベラー/戦場に舞い降りた少年』(2002)で、脚本の緻密な完成度としてはこれがベストだが、一番小規模でもあった。この『アダム&アダム』は、機械を使ったタイム・トラベルと言う意味では、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に似ているが、過去に戻って行う “悪い行為” が、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では個人単位だったのに比べ、『アダム&アダム』では全世界に関わる より深刻な改変になっている。そういう意味では、タイム・トラベルをメインに描いた映画としては、深刻度として頂点に位置するかもしれない。この大問題を矯正しようとする2人のアダムのうち、年上のアダムはベテラン俳優のライアン・レイノルズが、冴えない未来の男を演じ、12歳のアダムは、これが映画初出演のウォーカー・スコーベルが、可愛いが減らず口の少年を見事に演じて、新たな子役スターとなった。そして、名優のマーク・ラファロの存在が全体を締めてくれている。最後に、この映画で改めて驚いたのは、英語の難しさ。辞書にない 見慣れない表現が立て続けに出現し、通常より1.5倍の時間がかかってしまった。その分、あらすじの中に、英文を紹介する機会が増えた。

2050年、空軍のパイロットだったアダムは、最愛の妻のローラが、何かを探りに2018年にジャンプ(タイム・トラベル)してから、戻ってこないことに苛立ち、ジャンプ用のジェットを盗んで2018年に戻ろうとするが、“タイム・トラベルのすべてを支配する世界的企業の社長ソリアン” が、邪魔させまいと後を追い、彼がタイム・ワープする前に、アダムとジェットに損傷を与える。それでも、アダム自身は2050年から逃げ出すことに なんとか成功する。しかし、操作ミスを確認しなかったため、ジェットは2022年に着いてしまい、しかも、アダムがケガをしたため、一旦機を降りた後は、乗船することも、起動することもできなくなる。中程度の重傷を負ったアダムは、子供の頃に住んでいた家のガレージに逃げ込み、傷の手当てをしようとする。そこでばったり出会ったのが、12歳のアダム。彼は、年齢の割に小さく、ひ弱で、口だけは一人前だったため虐めの対象になっていた。そして、学校の方針が間違っているとしか思えないが、アダムを傷つけた虐めっ子だけでなく、怪我をしたアダムまで停学にされていた。そんなアダムは、ガレージに勝手に入り込んだ男と話すうち、相手が知るはずのないことを知っていて、しかも、自分にそっくりなところがあることから、男から 未来の自分だと打ち明けられると、納得する。大人のアダムにとって、子供だが健康的なアダムは、同じDNAを持っているので、一緒にいればジェットに乗る込むことができる大切な存在だった。そこで、停学中の虐めっ子に殴られたアダムを救ってやろうと、虐めっ子が際限なく漏らすほど威嚇し、二度と手を出させないようにする。そこに、アダムが2022年に逃げたことを知ったソリアンがやってきて、怪我のせいで強くない大人のアダムは拘束されそうになるが、それを救ったのは、2018年の世界に重要な目的で来て、4年間、夫のアダムが助けに来るのを待っていた 妻のローラだった。ローラは、2人のアダムを隠れ家に連れて行き、アダムが2018年に戻ってタイム・トラベルの成立を阻止する必要があると説得する。そして、ソリアンが攻めて来た時、自分が犠牲になってアダム達を逃す〔2022年で死んでも、タイム・トラベルがなくなり、歴史が変われば、2018年に行くこともないので、この死はなくなる〕。アダム達は、2018年に到着し、タイム・トラベルの原理の発明者である2人の父親ルイスに、“ルイスを騙して タイム・トラベルの会社を立ち上げた若きソリアン” を阻止するよう説得する。最初は反対していたルイスも、世界に与える恐ろしい変革に意見を変え、ソリアン社の資金援助で作り上げた巨大な加速器の中枢部を破壊することに賛成する。そして、ルイスと2人のアダムが、ソリアン社に乗り込み、2018年のソリアンと 諸悪の根源である2050年のソリアンの2人と対峙する。結果、加速器は完全に破壊され、2人のソリアンは死に、それとともに、タイム・トラベルができたという歴史的事実も消え、2022年とアダムと2050年のアダムは2018年から消える。しかし、2022年と、2050年では、2人の中に残った記憶の残滓が、2人の行動を僅かに変え、2022年のアダムは、より強く愛される子に変わり、2050年のアダムは、ローラとの結婚を再現できる。

12歳のアダム役は、ウォーカー・スコーベル(Walker Scobell)。2009年1月6日生まれ。映画の撮影が2020年11月~2021年3月なので、撮影時11~12歳。この映画が映画初出演で、かつ主演の2人のうちの1人。かなり台詞の多い役を、多様な表現力を発揮して見事にこなしている。その可愛らしさも相まって、次回作の『Secret Headquarters』(2022中の公開)にも、主役級で出演し、2023年にディズニーが配信する『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』のTVシリーズでも主役を務める。現在、最も嘱望されている子役の1人。右に示すのは、そのプロモーション写真。

あらすじ

映画の冒頭、宇宙からの地球の眺めをバックに、「タイム・トラベルは存在する。あなたが、まだ知らないだけ」と表示される。そのあと、一機のジェットが高度1万メートルを超えて上昇を続け、「2050年」と、2番目の表示が入る(1枚目の写真)。このジェットの操縦者はアダム〔2022年で12歳なので、40歳になる〕。それを、もう1機のジェットが追跡し、その機を指揮するソリアン社の女性社長が、「大尉〔アダム〕、何するの?」と無線で訊く。「分かり切ってるだろ。このジェットを盗んだんだ」〔この時、既に、アダムは腹部に撃たれた傷がある〕。「あなたの目的は見え見えよ。ジャンプ〔タイム・トラベル〕が、追跡可能なことは承知してるわね」。「ああ、俺だってそのくらい知ってる。だが、あんたの知らないことだってあるんだ」。アダムは、ジャンプをするためのワームホールを生成するボタンを押す。「アダム、よく聞いて。今すぐ中止しないと、撃ち殺しますからね」。「怖~い脅迫を遮って悪いけど、俺が正しければ、あんたの追跡システムは機能しない」。アダムは、GPS信号妨害のボタンを押す。後続機は、アダム機の銃撃を始め〔2050年なのに銃撃というのもお粗末。せめてレーザー砲くらい登場させないと…〕、何発かは機体に命中、何らかの損傷を与える。ワームホールが出来上がり、アダムのジェットはその中に逃げ込む(2枚目の写真)。

題名が表示され、いきなり教室から12歳のアダムが飛び出してくる。「アダム! 殺してやる!」の言葉に、アダムは必死になって廊下を走る。そして、階段を半分降りた所で虐めっ子に捕まり、壁に押し付けられ、「他に何か言いたいことは?」と怒鳴られるので、彼が、教室で虐めっ子を刺激するようなことを言ったらしいことが分かる。アダムは、「実は…」と言いかけて、虐めっ子に顔を思いきり殴られ、鼻血が出る。虐めっ子は、さらに、アダムの襟を掴むと、「何だ、もうジョークは終わりか? なら、これからお楽しみだ」と、一層の虐めを示唆する(1枚目の写真)。アダムは、「アマゾンかどっかで、『虐めっ子始めようセット』でも注文したんか? つまりだな、自分のアホさ加減 知ってんのか〔Do you even hear yourself?〕? チャックも、そう言ってたぞ」と、相手を刺激する(2枚目の写真)。一緒にいた手下のチャックは、「そんなこと、言ってない」と火消しに大わらわ。アダムは、「黙れ、チャック」と言った途端、虐めっ子から強烈な一発を腹部に食らう。虐めっ子は、「ざま見やがれ〔That's what I'm talkin' about〕!」と言って去って行き、アダムは、痛さに、そのままの姿勢で床に尻もちをつく。アダムが、ポケットから携帯用吸入器を取り出して口に入れると、右下に「2022年」と表示される(3枚目の写真)。

アダムが、校長室の前の廊下のイスに座っていると、そこに肩を怒らせた母がやって来て部屋に入り、一方的にまくし立てる。「あなた、あの子の顔を見たの? なんてことするのよ! アダムを停学に? なんでなの? あの子の方から、チンピラのレイ・ダラハイドと喧嘩を始めたと思ってるわけ? 父親を亡くしてから まだ1年しか経ってないのよ! 同情くらいしたらどうなの!」。廊下にいるアダムにも、その大声は聞こえてくる(1枚目の写真)。そして、母の車で帰宅する途中、アダムは、「僕のせいじゃない」と自己弁護する。母は、「分かってるわよ、アダム、生意気な口きいたんでしょ〔I know that mouth of yours〕。だから、殴られたんだわ」と(2枚目の写真)、対校長とは違い、鋭く情報分析する。「あいつが、クラスの全員の前で、僕をバカにしたから、我慢できなかったんだ〔I couldn't just take it〕」(3枚目の写真)。「あっちの方が、2倍も大きいのよ。あなたのことが分からない」。「パパは分かってた」。母は、さらに、喧嘩での停学はこれで3度目なので、①日中、校長から呼び出しを食らって仕事ができないと、クビになる恐れがある、②停学を受けたという記録はずっとアドムにつきまとうから、将来のことを考えるべき時だ、と叱る。

辺りが暗くなった頃、母は、友人と外食に出かけるから、1人でディナーを食べるよう声をかける。「どの、友だち?」。「デレクよ、一緒に働いてるの」。「デートに行くんだ」。「デートじゃないわ」。「ドレスは、デート用だね」。「ちゃんと話し合った方がいいわね」(1枚目の写真)。アダムは、「びっくり〔Dear God〕、やだよ」と言って立ち上がって、背を向けと、冷蔵庫を開けて何かのビンを取り出し、バタンと閉めるが、性能が悪いのか、反撥力で開いてしまい、アダムは手で押して閉める(2枚目の写真)〔後に関係する重要なシーン〕。アダムは、急いで出かけようとする母が 背中のジッパーを閉め忘れているのに気付き、「ちゃんと考えて〔Make good choices〕」と言いながらジッパーを閉める。母は、「停学中の子に言われちゃった」と一言余分なことを言った後で、「愛してるわ、坊や」と言い、アダムも、「僕もママを愛してるよ。もしかしたら思っている以上に」と答える。それども、最後の母の言葉は厳しい。「電子レンジなし。呼び鈴には出ない。ビデオ・ゲームは禁止」。しかし、母はいないので、アダムは、愛犬ホーキングと一緒にビデオ・ゲームに熱中する(3枚目の写真)。

しかし、しばらくすると、停電し、ゲームができなくなる。ベッドの上で静かにしていたホーキングが、急に立ち上がり、吠えながら部屋から走り出して行く。ホーキングは、玄関の外で何かに向かって吼えているので、アダムは懐中電灯を点けると、ホーキングのそばまで行き、「何だい? 何か見たの?」と訊く(1枚目の写真)。ホーキングは、勝手に森の中に走って行く。アダムは、外に置いてあったバッドを手に持つと、森の中に入って行き、犬の名を何度も呼ぶ。しかし、犬は答えず、代わりに、金色に光る小片が空から降って来る(2枚目の写真)。その時、急にホーキングが現れ、一緒に家まで走って戻ることにする。そこでまた、吸引器。一息ついたところで、使われなくなった父のガレージから変な音がする。ホーキングはさっそくガレージに向かって走り出す。アダムは、半開きになったガレージのドアを、恐る恐る開ける(3枚目の写真)。

懐中電灯で内部を照らすと、見知らぬ男〔2050年から来たアダム〕が正面にいて、バッドを持ったアダムに、「落ち着け」と声を掛ける(1枚目の写真)。アダムは、びっくりしてひっくり返る。それを見た男は、「転んで、悲鳴をあげても構わんぞ」と皮肉を言う。アダムは、すぐに起き上がってバットを振りかざすと、「あんた、誰だ?」と詰問する。「バットを置け。傷つけたりしない。約束する」。「ここで、何してる?」(2枚目の写真)。「出血してる」。そう言うと、さらに、「何歳だ?」と訊く。不法侵入者が訊くには変な質問だが、アダムは素直に 「12」と答える。男は、自分の年齢を元に計算し〔40歳-12歳=28、2050年-28=2022年〕、タイムマシンで行く予定だった年が2018年だったので〔後で分かる〕、思わず 「くそっ!」とがっかりする〔数値の入力を間違え、チェックしなかった〕。アダムは、「どうやって、パパのガレージに入った?」と訊く。「開いてた」。「いいや、閉まってた。それに、それ飛行服だろ。パイロットなの?」。「そうだ、聞いてくれ」。ここで、アダムが、スマホで恐らく警察に通報しようとしたので、男は 「おい、誰にも電話するな。何もしないから」と頼む。アダムは、男が怪我をして動けなさそうなのを見て、スマホをしまう。

男は、「ママはどこだ?」と訊く。「デート中」。「誰と?」。「何だって?」。「誰とだ? 名前は?」。「知らないよ。デレクかな」。男は、しばらく その名前をくり返して考える。「囲み髭の男だな」。「山羊ひげ?」。「ああ」。アダムは、ホーキングが 男に妙に懐(なつ)いているのを不思議に思う(1枚目の写真)。「いい犬だ」。しかし、男が、「家の中に行ってくる。欲しいものがあるからな」と言って立ち上がると、バットを構える。「危ないぞ」。それでも、アダムがバットで殴りかかると、男は、バットを簡単に奪って投げ捨てる。家に入って行った男は、冷蔵庫の前に鞄を置くと、冷蔵庫からリンゴを取り出して齧りながら、扉をバタンと閉めるが、例によって反撥力で開き始めたので、足で押して閉める(2枚目の写真)。アダムは、まるで自分みたいなやり方だと思う。男は、シンクに行くと、水を流してシャツのゴミを洗い落とし〔背中にも血痕があるので、貫通していることが分かる〕。アダムは、その間に男の鞄の中の物を勝手に取り出して見ている。「これ、ライトセーバー〔スターウォーズの有名な光るサーベル〕?」。男は、「違う」と言いつつ奪い返すと、すぐに鞄に放り込む。そして、アダムがまだバットを持っていたので、もう一度取り上げ、「いい加減にしろ。お前を傷つけるつもりなら、とっくにしてる。正直に言わせてもらえば、お前は、すごく殴りたくなる顔してる〔you have a very punchable face〕」と言い、アダムは、自分の顔に触ってみる。男は、傷口を消毒しようと2階に行くが、アダムはピッタリ後をついてくる。「あんた、いったい何者?」。「極秘事項だ」。「なぜ、ここにいるの?」。「それも極秘だ」。「空軍にいるの?」。「『極秘』の意味が分かってるのか? チョコレートだとも?」。「ライトセーバーで、何するの?」。「ライトセーバーじゃないって言ってるだろ。何て奴だ、アダム、冷静になれ」。アダムは、そこで自分の名前が言われたことにびっくりし、「待って! どうして僕の名前 知ってるの?」と訊く(3枚目の写真)。男は 「お前は アダム・リード。2010年2月10日生まれ。両親はエリーとルイス・リード。ルイスは1年くらい前に死んだ。急性喘息があるからスポーツはしない。プラス、12歳にしては異常に小さいし。学校は、フランクリン中学。ケンカをしたから、2・3度停学になった。勝てもしないのに、皮肉だよな」。ここで、犬が吠え始めたので、2人が同時に同じ調子で、「ホーキング、静かに!」と注意する。アダム:「なぜ、僕の犬の名前、知ってるの?」(4枚目の写真)。「俺が、名付けたからだ」。その言葉に、アダムは喘息発作を起こして倒れかかるが、男はそれを引き戻し、アダムの懐から吸入器を取り出して吸わせ、「3、2、1」とカウントする。アダムは、「7歳の時、テラスのテーブルにぶつかった。12針 縫った」と言い、「ここを」を指差す(5枚目の写真)〔男も同じ場所を指している〕。「パパのガレージへの入り方も知ってた。冷蔵庫の閉め方も知ってた。発作の時のカウントの仕方も知ってた。同じ傷がある。それに、パパの腕時計をはめてる〔2人とも、同じ腕時計をはめている〕。「あんた、僕なんだ」(6枚目の写真)「マジかよ…」。「極秘事項だが、そうだ。昔、お前だった」。

2人のアダムは、一緒に森に入って行く。子供のアダムは、歩きながら、「あんたが、未来の僕だなんて信じられない」と言い、大人のアダムは、「えらく簡単に受け入れたが〔you came to terms with that pretty quickly〕、ちょっとはびっくりしたよな」と言う。「で、なぜ、ここに?」。「救出作戦だ。ここに来るつもりはなく、2018年を目指してた。できるだけ早く行かないと」。「2018年で、誰を助けるつもりだったの?」。「やめてくれ」。「じゃあ、少なくとも、どうやってここに来たか教えてよ」。大人のアダムが、首から下げた小さな装置に触れると、森の真上に5角形の青い物が2つ、一瞬光って消える。「あれ何?」。「クソッ」。「何?」。「プランAに変更だ。お前も仲間になる。いいか、あのタイム・ジェットは、操縦者のDNAで作動する。俺は怪我してるから、ジェットは飛ばせてくれない。だから、中に入って修理もできないんだ。誰ならできると思う?」。それだけ言うと、大人のアダムは、子供のアダムに小さな装置をつかませる〔この設定は、本質的におかしい。大人のアダムは怪我をしているが、それとDNAとは無関係。DNAの損傷は紫外線曝露、熱ストレス、毒物、殺虫剤等の環境要因や、化学療法薬やウイルス感染等の医学要因などで起きる。現時点では、大人のアダムが銃撃で負傷していることを、小さな装置を触っただけで判断することは不可能。この設定は、子供のアダムを冒険に引き込むためだけに導入したものなので、かなりの無理筋だが、これがないと映画が先に進まないので仕方ないのかも…〕。すると、今度は、ジェットが姿を現わし、搭乗用のフローティング装置が舞い降りて来る(1枚目の写真、矢印)。2人がその上に乗ると、装置は再び上昇を始める(2枚目の写真)。大人のアダムは、子供のアダムを操縦席に座らせ、パネルを操作して、損傷個所を調べる。子供のアダムが、装置に触ろうとすると、「お前が起動すれば、奴らに見つかる。もし、奴らが この時代にいれば」と言って、触らせない。「『奴ら』って誰?」。「『奴ら』は極秘事項だから、訊かないで欲しい」(3枚目の写真)。かくして、損傷した継電器は遮断され、ジェットの自動修復が始まる〔どうして、『起動』せずに そんなことが可能なのか、分からない〕。「どのくらいかかるの?」。「50%の能力だから、俺の傷が治るより少し早いくらいかもな」。ここで、子供のアダムが話題を変える。「あんた、 このこと、覚えてた?」。「何を?」。「これだよ、ここで、今起きてること… あんたが2022年にいるってこと。これが僕に起きてるってことは、あんたにはずっと前に起きてたってことになる〔しかし、大人のアダムは覚えていない〕。多元宇宙なら別だけど、こんなことが起きたことによる波紋は、もう一つのタイムラインを作っちゃうんじゃないかな」。大人のアダムは、多元宇宙を否定し、別のタイムラインも否定する。「固定された時間〔fixed time〕に戻った時、俺の記憶… 俺たちの記憶は矯正され調整される。だが、ここにいる間はそうじゃない」。「『固定された時間』? それって、何?」。「お前が真に属しているタイムラインは一つ。俺みたいに宇宙をもて遊んでいない場所だ。それが、お前の固定された時間。お前が実際に属しているタイムラインだ」。「じゃあ、あんたがここにいて、こんなことを話してることで、僕の未来を全部変えちゃったかもしれないわけ?」(4枚目の写真)〔矯正され調整されるから〕。「正直に言おうか? お前の未来は どっちみちかなり悲劇的なんだ」。

2人はジェットから出て、アダムの父のガレージに戻る。「次は、どうするの?」。「何も。横になって、傷を治す。お前の未来にとって 巧い投資先でもないか考えてな」。「待って、それって、バック・トゥ・ザ・フューチャーのビフの…」〔ビフは、未来で年鑑を手に入れ、確実にもうかる株に投資して大儲けする〕。「頭がおかしいんじゃないか?」。そう言われても、アダムは、「これって凄いね」と笑顔を見せる(1枚目の写真)。アダムが家に戻ってしばらくすると、母がデートから帰って来る。そして、居間に座っているアダムを見つけると、「まだ、起きてたの?」と驚く。「うん、今夜は、びっくりで一杯だったから」(2枚目の写真)。「クールね。何があったの?」。「『デートじゃない』のは、どうだった? 彼とはまた会うの?」。「いいえ、会わないと思うわ」。その直後、ノックの音がして、デレクが忘れ物を届けにくる。その時、アダムはデレクの顔を見て、「立派な『囲み髭』だね。自慢しないと」と言う。デレクが母に、「じゃあ、またね」と言うと、アダムは、「ありそうにないけど、口添えしてあげるかも〔I'll put in a good word〕」と、嫌味を言い、母に制止される。デレクが帰ると、母は、「あなたって、時々、すごく嫌な子になれるのね。知ってた?」と批判する。翌朝、アダムがホーキングを連れて起きてくると、母は、たくさんの封筒を開封している(3枚目の写真、矢印はホーキング)〔最後の節の似たような写真と対比。この後の会話も、最後の節と対比すると面白い。「俺たちの記憶は矯正され調整される」の結果が現れている〕。アダム:「仕事に行かなくていいの?」。母:「今日、家の保険金の支払いをしないと」。「ファイル方式で? あきれた。全部オンラインにしないと」。「時間を見つけ次第、アカウントを作るわ。それまでは、あなたのパパのやり方ね。ねえ、それ取ってよ」。「ごめん。部屋に行って、自分がしたことを考えないと」(4枚目の写真)。「出かけるわ。用があったら電話して」。「しないよ」。

母がいなくなると、アダムはすぐにガレージに行く。そして、シャツ姿の大人のアダムを見て、その隆々とした筋肉を惚れ惚れと見る。気になった大人のアダムが、「何だ?」と訊くと、「僕ただ… あんたって… 筋肉もりもりなんだ〔kinda ripped〕」と嬉しそうに言う(1枚目の写真)〔ひ弱な自分も、将来 確実にこうなるから〕。「そうか」。「トレーニングしてるの〔Do you work out〕? だって、僕の遺伝的特徴は…」(2枚目の写真)「きっと、未来には、遺伝子治療とかナノテクノロジーなんかで… で、いつ、こうなるの? 未来には、ジム通いしなくて済むの? 大学で、こんなだった?」(3枚目の写真)「待って、大学じゃ、僕ら いっぱい彼女いた?」。そこまで黙って聞いていた大人のアダムは、遂に堪忍袋の緒が切れる。「アダム! お前が、これまで宇宙について持っていた概念が、根底からくつがえったというのに、一番訊きたいことが、『僕、ファックする?』だとはな」。「するの?」。その質問に、大人のアダムは、「何て奴だ」と呆れる。「気になってたんだ」。「黙って気にしてろ」。「やった! できるんだ!」。

大人のアダムは、そのままガレージを出て森の中に入って行く。「どこ、行くの?」。「薬局。傷口を閉じないと」。「そんな服で?」。その指摘に納得した大人のアダムは、子供のアダムに連れられ、父の服がそのまま吊り下げられている棚まで行き、扉を開ける。「パパの事故は 何年前だ?」。「1年半くらい前」。「クローゼットの中を片付けてもないんだ」。「ママは上手な主婦じゃない」。それを聞いた大人のアダムは、「おい、お前には 世話してくれるママがいる。ママには誰もいない。分かるか?」と注意する(1枚目の写真)。「僕は、あんただよ」。「じゃあ、教えてやる。いいか、お前がママにどんな態度を取ったか思い出す度に、胃が痛くなるんだ」。こう言った後、大人のアダムは、父のお気に入りのジャケットを取り出す。子供のアダムは、「僕、目を覚ます度に、寂しさが減るかなと待ってるんだけど、寂しいままなんだ」と言った後で、「今でも寂しい?」と訊く(2枚目の写真)。「パパがいた時から 寂しかった」〔認識の違いがある〕。その後、2人は歩いて町中まで行く。アダムは、「2018年に 人助けをしようとしたのに、結局2022年に来ちゃった。何か起きたの?」と訊く。「ジェットを盗む時に撃たれた。座標を何とか打ち込んだが、確認しなかった」(3枚目の写真)〔そう言えば、盗む時に撃たれたのなら、なぜジェットは起動したのだろう?〕。大人のアダムは、子供のアダムから現金をもらい、彼を外に待たせて、薬局に入って行く。

すると、そこに、運悪く、アダム同様、停学になった虐めっ子のレイが、手下と一緒に現れる。アダムは、「レイ、今日は、ボコボコにするの お休みにしない? 僕、いろいろすることがあるんだ」と提案するが、すぐに襟を掴まれて壁に押し付けられる。そこで、「停学楽しんでる?」と余分なことを言ったので(1枚目の写真)、「今がそうさ」と、お腹を思い切り殴られる。「そこ、僕の脾臓だよ」。すると、薬局から出てきた大人のアダムが、笑いながら、「チビのくそ野郎ども。こいつら覚えてるぞ」と言う。巨漢を見てたじたじとなったレイだが、大人のアダムは、レイには何も言わず、殴られたアダムを連れて少し離れると、「おい、どうなってる? しっかりしろ。レイは準備万端だ。恥ずかしいと思え」と、意外なことを言う。アダムは、「じゃあ、これを止めさせるつもりはないの?」と驚く。大人のアダムは、ここから、レイに向かって、「止めるなんて無責任だ。君らは、彼を袋だたきにする〔pound the crap out of〕別の方法を思い着くだろう。いつもみたいに。彼は、大口をたたく。だろ? 要はだな、この戦いは、今すぐ必要なんだ。だから、ちょっとだけ待ってくれ、レイ。そこで、ストレッチでもしてろ。足がつると困るだろ」と、何だかレイを煽(あお)るようなことを言う。心配になったアダムは、「何なの?」と訊く。「いいか、レイは、お前がチビで、虚弱で、大口をたたくから、ずっと虐めてきたんだ」(2枚目の写真)「つまり、彼だって、戦いたくないんだ」。「僕も戦いたくない」。「奴に、それが分かるか? そこでだ、お前は、あっちに歩いて行ったら、手を上げて、レイの目をまっすぐ見る。そして、笑顔で こう言うんだ。『僕は、この時をずっと待ってた』。そしたら、膝をついて、陰部〔private bathing suit parts〕を思い切り殴れ」。話が、急に過激な内容になったので、思わず、「今、何て?」と訊く。「ペニスをぶっ叩くんだ〔smoke this banana〕。それとも、1日中話してるつもりか、さっさとやれ」〔陰部からペニスまでの部分の正しい訳は困難。5-6ヶ国語の字幕を見てみたが、どれも苦労して、しかも、まともに訳されていない〕。動転したアダムは、「手を上げて… 待ってた』」 までの指示を忘れ、しかも、最後の言葉を行動で示さず、言葉で言う。「ペニスをぶっ叩くぞ、クソッタレ」。アダムは、レイに陰部を殴られ、地面に押し倒される(3枚目の写真)。未来の自分の不親切さ に怒ったアダムは、そのまま走り去る。それを見たレイが、「逃げろ!」とあざ笑うと、大人のアダムに一瞬のうちに壁に押し付けられる。「何だよ?」。「俺は やるつもりじゃなかったんだが… 『虐めっ子にも、虐めっ子がいる〔Every bully has a bully〕』って、聞いたことあるか? お前たちは、決めた通りにやらんかった。だから、俺が引き継ぐ」。「何、言ってんだよ」。「お前は喧嘩のやり手で、やっつけるのが好きな、デカいガキだ。だが、今度アダムに近づいたら、必ず 見つけ出してやる。遊び場での喧嘩とは訳が違うぞ。お前の体から骨を抜き出し、それを削って、チビのチャッキーに突き刺してやる」。それを聞いた手下のチャッキーは、「僕、何かした?」と訊く。「黙らんと、レイの足を口に突っ込むぞ」。手下はさっと隠れる。「俺が言ったこと分かったか? そりゃいい。骨は、どうなる? 足はチャッキーの口だな? よし。漏らしたのか? たれ流しだな。家に帰ってきれいにして来い」(4枚目の写真)「これからは 変わるんだ、お前から望んで〔Be the change you wanna see〕。いいな?」〔最後の英文は、ガンジーの有名な言葉、「Be the change that you wish to see in the world」(良き世界を見たければ、(まず自分自身から)変わりなさい)の前半2/3。意識して言ったのだろうか?〕。解放された2人は 必死に逃げ去る〔「俺たちの記憶は矯正され調整される」の効果が現れる〕

大人のアダムがガレージに戻ると、中から鍵が掛かっていて ドアが開かない。子供のアダムは、先ほどの一種の裏切りに憤慨していて、大人のアダムの鞄の中の大きな装置を見ている。「おい、アダム。それを置いて ドアを開けろ。ドローンに触るな、死ぬ怖れだってある」(1枚目の写真)「1回負けただけじゃないか。もう、慣れてるだろ」。「助けることだってできたのに、何もしなかった!」。「さっきは やり過ぎた。ごめんよ。あんなこと言うべきじゃなかった」。その言葉もあって、子供のアダムは、鞄の中にあったスマホ〔スマホは数年単位で進化しているのに、2050年にも 今と同じスマホを持っているのは可笑しい〕に映っている女性の写真を見せ、「これ、誰?」と訊く。「戻せ」。「誰か教えたら、すぐ戻す」(2枚目の写真)。「妻のローラだ」。「僕らに奥さんがいるの?」。「いいや、もういない」。その言葉に衝撃を受けたアダムは、ドアのロックを外す。しかし、大人のアダムは、もう姿を消していた。彼が向かった先はバー。すると、そこに、まだ若かった頃の母が入って来て、近くのカウンターに座る。バーテンとの会話の中で、バーテンの赤ちゃんに言及し、「赤ちゃんは とても愛らしいけど、10代になると幸福の暗殺者になるのよ。この2年間、大変だったわ。息子は、私を嫌ってるの」と話す(3枚目の写真)。この言葉に、大人のアダムは衝撃を受ける。そこで、母が「私のどこが間違っているのか、知りたいわ」と、独り言を言った時、ついつい口を出してしまう。「あなたは、何も間違ってない。10代の男の子は恐ろしい。クソ野郎と一緒に暮らしてるのと同じだ」〔It's like living with a urinal cake that yells at you/“urinal cake” は普通に使えば小便器の消臭剤だが、Urban Dictionaryでは、“Any person who deems him or herself better than everyone else(自分の方が正しいと思って喚く奴)”、つまり、“The Shit” と書いてある。公式日本語字幕の「文句ばかり言う小便器だ」は、間違い〕。こう言った後、「だが、一つ言わせてもらうと、男の子は必ず母親の元に帰って来る」と付け加える。母も、「とても可愛い子で、大好きなの」と言う。そして、一昨年、夫を事故で亡くしたことも話す。アダムは、母が悲しんでいると訊き、「なら、息子さんにそう言うべきだ」とアドバイスする。それは、大人のアダムが、母が、夫の死を悲しんでないと誤解して育ったことから来た、真剣なアドバイスだ〔「俺たちの記憶は矯正され調整される」の効果が現れる〕

翌朝、ソリアン社の女性社長の指揮するジェットが、大人のアダムが間違って入り込んだ2022年を見つけて侵入してくる。操縦者は悪漢で頑強なクリストス。ソリアンは後方の空間にいる10人のロボットのような武装兵に向かって、アダムを連行するよう指示する。その頃、アダムの家では、2人が並んで朝食をとっている。同じ人間なので、食べ方が全く同じ(1枚目の写真)〔大人のアダムは、28年のうちに、食べ方が変わっている方が普通なのに、全く同じと言うのは、観ていて面白いが、実際にはあり得ない〕。子供のアダムは、「じゃあ、奥さんのローラを助けに戻って来たの?」。「その話はやめよう」。「僕の奥さんでもあるんだよ」。この言葉で、アダムは話し始める。①会った馴れ初め: ローラが違う建物の違う教室に20分遅刻して入ってきたのを、アダムが正しい教室に連れて行った。②最近の情勢: ローラは、数年前、タイム・ジャンプから戻って来なかった。アダムは、「あんたが2018年に行こうとしたのは、ローラが前に行った場所だから?」と尋ねる(2枚目の写真)。「そうだ」。「そこで、何してたの?」。「分からん。奴ら、ジャンプの記録を変えやがった。誰かが何かを隠してる。多分、ローラは、ソリアンが見せたくないものを見てしまったんだろう」。「待って、『ソリアン』? パパのパートナーの、マヤ・ソリアン? 僕には、とても親切だよ」。「ああ、信じろ。彼女は、友だちなんかじゃない。パパが死んだ後、パパの技術でボロ儲け。今や、地球上で最も価値ある資源の “時間” を排他的に管理してる」。「ちょっと待って。パパが タイム・トラベルを発明したの?」。「ああ、偶然にな。磁気粒子加速器だ」。「パパは、アダム・プロジェクトと言ってた」。「ああ、大好きな子供の名前を付けたんだ」。「で、ローラに何が?」。「お前のお友だちのマヤに、殺されたのかも。だから、2018年に行かなくちゃならん」。その時、ホーキングが異変を感じ、それを見た大人のアダムは、鞄をテーブルの上に置くと、武器を胸に入れながら、「鞄を持って、逃げる用意を」と警告する(3枚目の写真、矢印は、アダムがライトセーバーと呼んでいた武器)。

大人のアダムは、子供のアダムに鞄を持たせてドアに向かわせ、自分は、“アダムが鞄から最初に取り出して眺めていた球体” を起動させると、反対側の掃き出し窓に向かって投げる。すると、武装兵が2人現れるが、球体が爆発して吹っ飛ぶ。そのあとは、庭に出て行ったアダムと武装兵との戦闘。アダムは、“ライトセーバー” を起動させ、それを見た子供のアダムは、「やっぱ、ライトセーバーじゃん」と口を挟む(1枚目の写真)。それがライトセーバーと違うことは、アダムが回転させて地面に思い切り突くと、武装兵が吹き飛ぶことで分かる(2枚目の写真)。2人は、そのまま森に逃げようとするが、頭上にソリアンのジェットが姿を現わす(3枚目の写真)。そして、予め武装兵と一緒に地上に降りていたクリストスが歩み寄る。「誰なの?」。「クリストス。高校で一緒だった。凄腕のパイロットだが、恐ろしい奴で、ソリアンの護衛だ」(4枚目の写真)。ソリアンは、機体の上から、「アダム、深入りする前に、戻りましょう。あなたは、なぜか私がローラを殺したという偏執的な妄想に捉われて命を危険に晒してるのよ。私はローラが好き。あなたたちは、私にとって家族同然よ。彼女を傷つけるなんてあり得ない」と言うが、その直後の行動は言葉とは正反対。いきなり、「こんなことしたくないのよ」と言うと、ジェットの機関砲をアダムに向ける。そして、クリストスにアダムを捕獲するよう命じる。クリストスはアダムにマグシル〔“ライトセーバー”〕を捨てさせると、卑怯にも、何度も殴って地面にねじ伏せる。

その瞬間、ソリアンのジェットが攻撃される(1枚目の写真)。森の中から2発目を撃ったのは、何とローラ。ローラが武装兵を片付けている間に、アダムはマグシルを拾うと、地面に突き刺して、憎(にっく)きクリストスを吹き飛ばす。そして、森の中から飛び出して来たローラに抱き着こうとするが、ローラはアダムを突き飛ばし、背後からの武装兵に向かって行く。アダムが、その武装兵をマグシルで突くと、これまでと違って、粒子状になって消滅する。子供のアダムが、「どうなったの?」と訊くと、「固定された時間の外で死ぬと、ああなるのさ」と答える〔意味が分からない。今までと同じ相手なのに、いつ時間軸が変わったのだろう? ローラと触れたから?〕。大人のアダムは、ローラに、「ここで何してる?」と訊く。「助けに来たんじゃないの。ほら、後ろ!」。アダムが武装兵を突くと、また粒子状になって消える(2枚目の写真)。武装兵がすべて消えると、ジェットも危険を感じて姿を消す〔時間軸が違うなら、最初のローラの攻撃で、なぜジェットは破壊されなかったのだろう?〕。3人は、森の中を駆け抜け、停めてあったローラのステーションワゴンに乗る。車は、森の中を一直線に伸びる一般道に割り込み、フルスピードで走り出す。ローラは、アダムの手を握ると、「いつかは分からないけど、来てくれると知ってた」と、笑顔で言う(3枚目の写真)。後部座席のアダムが、「どうも」と挨拶すると、ローラは、「並行接触?」と驚く。大人のアダム:「君はいつも言ってたろ。もっと早く〔若い頃の〕僕に会いたかったって」。

その時、道路の上にジェットが現われ、ミサイル〔何と、原始的な〕を発射(1枚目の写真)。ローラは、巧みな運転で、ミサイルを先行車に当てさせる。しかし、このまま道路を走り続けるのは危険なので、ローラは森の中に突入する。ここから先は、『スターウォーズ/ジェダイの復讐』の、帝国軍の高速スピーダーによる追跡シーンへのオマージュ。追いかける武装兵も2人。空飛ぶスキムボードに乗って、森の中を高速で飛び、車を追いかける。しかし、撃つのは旧式の銃で、ビームではない。アダムは、ローラに車を急停車させ、助手席のドアを開け、そこに1台目のスキムボードが激突し、武装兵は木の幹にぶつかって消える。アダムは車を高速バックさせ、ドアのなくなった助手席から身を乗り出すと、マグシルを起動し、太い幹を一瞬に切断(3枚目の写真)。追いかけて来た武装兵は、その幹とぶつかって消える。ジェットは姿を消し、ローラは隠れ家 目指して森の中を走る。

ローラは、湖畔の一軒家に到着する。大人のアダムは、「分からないな、どうやって俺たちを見つけた?」と尋ねる。「たとえ過去にいても、いつもあなたを見守ってるから〔I'd be watching your back〕」。ここで、アダムは、さらに重要な質問をする。「そもそも、なぜ過去にジャンプしたんだ」。「ジャンプの記録に変なところがあったから、解析したの。そしたら、2018年から戻ったタイム・ジェットがあった」。「どこが変なんだ?」。「誰も、2018年に飛んだことがないから」(1枚目の写真)。「分からんな。ないんなら、どうやって戻ったんだ?」。ここで、子供のアダムが口を挟む。「誰かが2018年に行って時の流れを変えたから、2018年にジェットが飛んだ未来が消えたんだ」(2枚目の写真)。こう言うと、大人のアダムを見ながら、「きっと、僕、脳ミソと筋肉を交換したに違いない。最悪だな〔It's a shit deal〕」と、憎まれ口を叩く。それを聞いたローラは、「可愛い子ね」と言うが、大人のアダムは、「ご立派なもんだ。泡が出て来なくなるまで、水に沈めてやりたくならないかい?」と、ブツブツ。ローラの隠れ家の中に入ったアダムは、「何が起きたんだ?」と訊く。「2018年から戻ったジェット? ソリアンのよ。事情があって、2018年11月に戻ったの」。子供のアダム:「2018年11月に何が?」。ローラは、「あなたのお父さんの磁気粒子加速器、アダム・プロジェクトがネットで公開されたの」と言いながら、そのコピーを2人に見せる(3枚目の写真)。「これは、実用的なタイム・トラベルへの第一歩だった。ソリアンは、2018年に戻って、若かった自分自身に、未来の機密情報を教えたに違いないわ」。子供のアダム:「何のため?」。「時間を一手にコントロールしようとするのを邪魔立てしようとする政敵を一掃するべく、莫大な財産を築くための株式情報を与えたんじゃないかと思うの」。

それを聞いた大人のアダムは、「俺たちの世界は、ソリアンによって何もかも変わってしまった」と言い、子供のアダムは、「あんたの固定された時間、2050年はひどいの?」と訊く(1枚目の写真)。「『ターミネーター』を観たことあるだろ? あの2050年は良かった」〔『ターミネーター』は2029年〕。ローラは、自分に何が起きたかを説明する。①ソリアンは、ローラのジェットに高性能爆薬を仕掛けた、②ローラは緊急脱出して命は助かったが、2050年に戻るためのジェットを失った、③いつかアダムが助けに来てくれることを信じて、4年弱待ち続けた。それに感動したアダムとローラは熱い口づけを交わす。それを見せつけられた子供のアダムは、嫌いなニンジンを齧ると(2枚目の写真)、「外の様子を見て来るね〔I'll take my eyes and ears for a walk〕」と言って、隠れ家から出て行く(3枚目の写真)。

その後、湖畔に置かれた “丸太で作ったテーブル” に3人で座る。そこで交わされる重要な会話の抜き出し。ローラ:「あなたは2018年に戻って、正常な状態に戻さないと。すべてを終わらせるの」。子供のアダム:「『終わらせる』って、どういう意味?」。ローラ:「タイム・トラベルが発明されるのを阻止し、未来を救うの」。大人のアダム:「いいとも、俺と一緒に…」。ローラ:「あなたのジェットは、あなたのDNAでしか作動しない。他の人間がいると飛ばない」。大人のアダム:「もし、俺が2018年に戻ってタイム・トラベルを阻止したら… ソリアンがそうさせる可能性は限りなく低いが… 俺たちは二度と会えない。結ばれることはない」。ローラ:「私たちが時間の流れを修正しても、私たちのどこかに痕跡〔echo〕は残っている。だから、必ず会えるわ」(1枚目の写真)。それでも、パッとしない大人のアダムは、ぐずぐず反対する。その時、隠れ家の中で、緊急警報が鳴り出す。ローラ:「奴らに見つかった」。カメラは、隠れ家に向かって疾走するクリストスと武装兵を乗せた車を映す。ローラは急いで隠れ家に戻ると、警報装置を見る。そこには、4つの地点の監視カメラの映像が映り、うち1つにクリストスの車が映っている(2枚目の写真)。ローラは、2人に反対側の道を行くように指示し、「あなたがジェットに行くまでの時間を稼ぐわ〔I'll buy you time〕」と言う。それでも、優柔不断なことを言うアダムに、「私のために行って、お願い」とまで言わせる〔「僕、脳ミソと筋肉を交換したに違いない」は、正しい〕。時間が切迫しているのに、ようやくアダムは、ローラの車を運転して隠れ家を離れる。ローラは、かねてから準備しておいた武器を床下から取り出すと、道路の正面に立ち、爆破装置を起動させる。そして、クリストスの車が現れると、ボタンを押し、車は吹っ飛ぶ(3枚目の写真)。それでも、中の乗員は死んだ訳ではないので、しぶとく出てきたクリストスや武装兵との間で、銃撃戦が始まる。

一方、自宅近くの森の中を歩きながら、大人のアダムは、こう説明する。「ジェットは、俺の傷が治っていないから、俺を認識しない。だから、起動するのに、お前のDNAが必要だ。一定の高度に達したら、バイオ・ストップは解除されるから、後は俺が引き継ぐ。とにかく急がないと、2018年にジャンプする前に、奴らにやられちまう」。これを聞いた子供のアダムは、「ちょっと待って、僕は一緒に行かないよ」と反対する。「いいや、行くんだ」。「ちょっと聞いてよ。ここは、僕の固定された時間だ。あなたは、大きくなり、冒険し、飛行機も飛ばしてる。なのに、僕は、やられっぱなしの 吸入器を持ったオタクだ。残りの人生が欲しい」(1枚目の写真)〔2018年に行って死んでも、大人のアダムがタイム・マシンの発明を阻止すれば、2022年のアダムは2018年に行かなかったことになり、死ななくて済む〕。大人のアダムは、「残りの人生はこうだ。パパの死は、思っている以上に、お前を落ち込ませ、怒らせる。お前は、何の成果もなく、学校生活をダラダラと送り、そのクライマックスが大学だ。入学後1年で、恥ずかしくて口にできないようなことをして奨学金を失っちまう。仕方なく空軍に入り、そこで飛ぶことを覚える。そしたら、タイム・トラベルが現われて、全世界がバラバラに壊れ始め、最愛の女性が連れ去られるんだ」(2枚目の写真)。そして、「修正しないと」と訴える。「タイム・トラベルをブチ壊すの?」。「そうだ」。「どうやって? 計画はあるの?」。「吸入器を持ったオタクに説明なんか…」。「計画なんか、なんいだ」。「そうだ。だが、やれそうな人を知ってる」。「パパだ」。「そうだ」。「パパを見つけてくれる?」。「いいや。一緒に見つけるんだ」。それを聞いたアダムは、パパに会いたい一心で、大人のアダムが首から下げた小さな装置に触れる(3枚目の写真)。

ジェットは、健康なアダムのDNAを感知し、すぐに姿を現わす(1枚目の写真)。操縦席に座った大人のアダムは、横に座った子供のアダムの手で装置を握らせると、ジェットが起動する(2枚目の写真)〔以前、「起動すれば、奴らに見つかる」と言っていたので、これで居場所がバレてしまう〕。操縦席は1つしかないので、大人のアダムは、「手すりをつかんだら 必死でしがみついてろ。Gで気絶するな」と注意する。子供のアダムが、「『G』って?」と訊くや否や、凄い加速度でジェットが発進する。それを見たローラの顔に笑みが浮かび、そのローラを、悪魔のソリアンはジェットの機関砲で撃ち殺す〔ローラは死んでしまうが、アダムが2018年に戻ってタイム・マシンの発明を阻止すれば、ローラの2018年行き自体もなくなり、ローラは2050年に生きているが、アダムと結婚しているかどうかは不明〕。ソリアンのジェットの操縦に戻ったクリストスは、アダムのジェットを追いかけ、銃撃する、アダムは、ジェットを深い谷に向けて急降下させる(3枚目の写真)。その途中で、浮き上がってしまった子供のアダムが 大人のアダムの顔に捉まって顔を塞いだことから、大人のアダムは、「『しがみついてろ』と言ったろ」と注意するが、とても無理な話なので、子供のアダムは 思わずアダムの顔をじっと見る(4枚目の写真)。すると、「そんな不愉快な目はやめろ」と言われてしまう。結局、アダムは、全装置のスイッチを切り、敵のスクリーンから消えると同時に、ジェットを自由落下させ、衝突直前にスイッチを入れて、影に隠れる。起動した以上、スクリーンには現れるハズだが、なぜか現れない〔崖が邪魔をしている?〕。そこで、ソリアンが呼びかける。ポイントは、ジェットは損傷を受けているから、タイム・ジャンプは1回しかできない。つまり、大人のアダムは2050年に、子供のアダムは2022年に、そのままの形では二度と戻れない〔戻れなくても、固定された時間軸での2人のアダムは残るが、現在持っている記憶は消える〕。大人のアダムは、どうするか、子供のアダムに決めさせる。子供のアダムは、「クソ野郎を叩きのめそう」と言い、大人のアダムは、一気にジェットを急上昇させる。そして、ワームホールを作り出し、その中に消える。

大学の構内の映像の左下に「2018年」と表示される(1枚目の写真)。室内では、アダムの父ルイスが難しい数式を使って講義中(2枚目の写真)。講義室の後ろのドアを開けて大人のアダムが中に入り、子供アダムは、ドアに半分隠れて 大好きだった父を見ている(3枚目の写真)。大人のアダムは一旦外に出ると、子供のアダムに向かって、「ここじゃ、俺が話す」。「何が起きるか話そうよ。パパに死んで欲しくない」〔事故死のこと〕。「ダメだ。あくまで、必要なことだけだ。『言いません』と言うのを聞きたいな。さあ、言え」。「言いません」(4枚目の写真)。

ルイスは、講義の最後に、自分一人で解決しようとするな、次世代が解決してくれるという趣旨の言葉をくり返し、その一例として、ソクラテスの名言を、古代ローマ人の言葉と誤解して引用する。「気楽に行こう。人生思ったより短い〔Enjoy yourselves. It's later than you think.〕」。それを聞いた大人のアダムは、それはガイ・ロンバードの歌詞だと指摘する。ルイスは、「確かに1949年の名曲の歌詞にあるが、そのずっと前にローマ人が日時計に刻んだ。どちらも正しい」と発言する〔問題点①ローマ人云々ではなく、古代ギリシャのソクラテスの言葉、②アダムは100年前の古い曲をなぜ知っているのか?〕。そして、講義が終わり学生がいなくなると、ルイスは、残っていたアダムに、「アダムか?」と声をかける〔タイム・トラベルが想定外の2018年に、ガイ・ロンバードを口にしただけの 見たこともない中年男に対し、なぜそんなことを思ったのだろう?〕。子供のアダムは 「パパ」と言い、父に向って走って行き〔ルイスは2020年代に死んだので、2022年のアダムを見るのも初めて〕、大好きだった父に抱き着く(1枚目の写真)。2人の別々の時代のアダムを見たルイスは、大人のアダムに、「タイム・トラベルなのか?」と訊く。次のシーンは建物の外。ルイスは子供のアダムに、「2050年から来て、君を拾ったって?」と訊いている。子供のアダム:「そうだよ」。「幾つだい?」。「12」。ルイスは、今度は大人の方に、「なぜ、12歳の自分自身が必要だった?」と訊く。「必要なかった」。子供のアダムは、その答えに反撥し、「ジェットを飛ばすのに必要だった」(2枚目の写真)と訂正する。「ジェット? ジェットがあるのか?」。「俺のジェットだ。『必要なかった』と言ったのは、当初の予定ではという意味だ」。「2022年に間違えて来た」。「君が、ジェットを飛ばしたのか?」。「そうだよ」。2人がタイム・トラベルをしてきたことを確信したルイスは、急に態度を変え、大人のルイスに向かって、「これが、どれほど間違ったことか分かってるのか? 君たちはここにいちゃいかん。自分のタイムラインから出てはダメだ。君らに会えて すごく幸せだ。だが、最善の道は、君らが即刻戻ることだ」(3枚目の写真)。 大人のアダムが、「ちょっと黙ってくれないか」と頼んでも、ルイスは聞く耳を持たない。「君らの世界では、何の予防策も作ってないのか? マヤと私は、倫理委員会を作ることで合意した…」。「そんなものはない」。ここで、ようやくルイスは、心配になる。「待て。じゃあ、もう起きたのか? 誰かが時間を変えてしまったのか?」。アダムが頷く。「誰が?」。「ソリアン」。「マヤが?」。「マヤだ」。

夜になり、モーテルの部屋で、ルイスは大人のアダムに謝る。「済まない。私のせいだ。常に最高でありたいと望むエゴと自信過剰のせいだ」(1枚目の写真)。大人のアダム:「実に嫌なキャラクターだ」。「予見すべきだった。人類は宇宙のメカニズムに干渉する権利はない。科学よりも偉大なフォースが存在する〔スターウォーズの “フォース”?〕。「だから、魔神をランプに戻さないと〔アラジンの魔法のランプ〕。タイム・トラベルを、発明される前に破壊する」(2枚目の写真)。それでも、頑固なルイスは、「既に行われたことは、それが如何に邪悪なことでも、覆すべきではない。こうして話しているだけで、運命と時間を変えていく」と、木を見て森を見ようとしない。アダムは、「言っただろ。ソリアンはもうやっちまった。以来、世界は奴の思うがままだ〔She's had the world by the balls〕」。それに対しても、ルイスは執拗に反論する〔自分の関与を恥じている? ソリアンを信じている〕。頭に来たアダムは、反論を止めさせ、「科学者はやめろ。父親になれ。あんたは、いつだって、息子より宇宙が好きだった」と言った後、「時すでに遅し〔That ship has sailed〕。俺には手遅れだ。だから、分かるだろ。もうどうだっていい〔So, you know, whatever〕。俺は大丈夫。だが、彼は、あんたを必要としてる」と、子供のアダムにとって、いい父親であれと言い残すと、部屋から出て行く。2人だけになると、ルイスは、「ここにはいられない。もう行かないと」と言い出す。「お願い、行かないで」。「ダメだ。彼の要求は、あまりに大き過ぎるし、危険だ」。その言葉で、アダムは父に甘えるように寄りかかるが(3枚目の写真)、父は、「また会おう」と言って出て行く。

父が去った後、2人のアダムは、モーテルの前のベンチに座って話し合う。子供のアダム:「あんたは、“僕より年上だから、僕なんかより よく知ってる” と思ってる。そうだろ?」(1枚目の写真)。「消えちまえ」。「なんでパパを あんなに嫌ってるか知ってる」。「そうか? じゃあ、話せよ。ハラハラドキドキだな〔I'm on the edge of my seat here〕。自己中だったからか? 滅多に家に帰って来なかったからか? 息子より仕事が好きだったからか?」。「死んじゃったからだ。あんたが嫌うのは、パパが死んだからだ」(2枚目の写真)「悲しむより楽だから、嫌いになることにしたんだ。あんたが思い出したくないことだって、覚えてる」。「どんな?」。「パパは、毎晩、キャッチボールしてくれた。パパが疲れて帰って来た時は、僕はピッチバック〔1人でボール投げをする時に使うネット〕に向かって投げた。僕が、どうしてもって頼んだから、買ってくれたんだ」。子供のアダムの話はさらに続き、最後に、大人のアダムは 「どうやったら、そんなに賢くなれる?」と言い、それに対し、子供のアダムは 「どうやったら、そんなにバカになれる?」と言う。ここら辺の人物設定が面白い。このあと、翌朝のルイスの家の様子が映る。そこでは、今日1日、仕事に行かないことに決めたルイスが、朝食を作っている。その横では、8歳のアダムがTVゲームに熱中している(3枚目の写真)。

湖畔に造られた巨大なソリアン社の建物に、2人のアダムが近づいて行く。「やれると思う?」。「さあ、どうかな」。「でも、やってみるんだよね。どうやって、タイム・トラベルを破壊するの?」。「これは 世界最大の電磁加速器だ。2018年では、まだ技術は不安定だ。そこに付け入るスキがある。爆破しちまうんだ」。「爆破? 僕、いったいどんな大人になったの? それって、最低だよ」。「最低でも、他に何もなければ、最高なんだ」。「それ、誰が言ったの?」。「今から9年後。逮捕される直前のお前だ」(1枚目の写真)。ここで2人は別れ、子供のアダムはその場に留まってドローンを任され、大人のアダムだけが建物に向かって進む。すると、いきなり武装兵に囲まれるが、その上には、子供のアダムのドローンが(2枚目の写真)。しかし、彼が何もしないので、「アダム、何してる。やられちまうじゃないか」と、ドローンに聞こえるように催促する。すると、アダムは、以前、虐めっ子の前で言われたことを、くり返す。「笑顔で こう言うんだ。『俺は、この時をずっと待ってた』。そしたら、膝をついて、陰部を思い切り殴れ」(3枚目の写真)。それを聞いた大人のアダムが、「アダム!!」と怒鳴ると、子供アダムは、「了解」と言っていきなりドローンから “2050年らしい光線” を発射し、武装兵全員が吹き飛ぶ。後は、大人のアダムがマグシルを使って粒子状に消し去る。

そこに 武装兵の乗った車が迫ってくるが、それに別の車が体当たりしてアダムを救う。その車の中から現れたのは、父のルイス(1枚目の写真)。昨夜までの中途半端な態度を反省し、助っ人に駆け付けたのだ。2人は、建物の中に入って行く。父は、歩きながら、加速器の中枢にあるISPCA(無限流動プラズマ包含アルゴリズム)を破壊すればタイム・トラベルは消滅する、と教える。そして、網膜認証で扉が開くエレベーターに乗り、加速器のある下層階まで降りる〔どう見ても、アダム1人では、何もできない〕。その頃、建物の外でドローンを飛ばして遊んでいる子供のアダムの頭上に、ソリアンのジェットが降りてくる(2枚目の写真)。下層階に着いたルイスは、5本の指すべての指紋認証で最も重要なドアを開け、加速器のある巨大な空間に入って行く。アダムは、思わず 「尊敬するよ〔I gotta hand it to you〕、パパ」と感嘆する(3枚目の写真)。

ルイスは、ガラスの円筒で囲まれた中枢部の前にある操作盤まで来ると、「ここに、ハードディスクがある」と教える。「引き抜くと?」。「2つに1つだ。加速器は回り続けるが、休眠状態のまま。アルゴリズムがなければ、誰も再プログラムできない。あるいは、破滅的なメルトダウンが起き、100マイル圏内のすべての生物が死滅する」。最初の可能性に賭け、ルイスは、中央のレバーを引っ張ると、中にあった小さなハードディスクをサッと取り出し(1枚目の写真)、それをアダムに渡す。その時、「ルイス!」という声が聞こえ、中年のソリアンが、若いソリアンを伴って入って来る。最初に口をきいたのは若い方で、「それを盗むの? 私たちが成し遂げた成果を破壊するの?」と訊く。ルイスは 「研究が、倫理に反するものだとは思っていなかった」と反論する。「世界を変えるのよ」。「世界を変える? 変わったのは君の方だ。頭が変になったのか?」。ここで、悪漢の中年のソリアンが口を出す。「何億もの私のお金。全部、あなたの道楽のために費やした。だから、これは 私が好きなように使う」。そう言うと、アダムにハードディスクを渡すよう要求する。アダムが断ると、それを予期していたソリアンは、ドアを指紋認証で開けると、そこには、クリストスに銃を突き付けられた 子供のアダムがいた(2枚目の写真)。ソリアンは、アダムを乱暴につかむと、クリストスの銃をアダムの頭に突きつける。そして、「この子を撃てば、あんたも死ぬのよ」と脅す。ルイスが、「アダム?」と訊くと、大人のアダムは、「慎重に考えてる〔I'm thinking it over〕」と答え、子供のアダムは、「何だって? 考えるって、何を?」と文句を言う。「複雑な問題なんだ」。「複雑なんかじゃない!」(3枚目の写真)。「よく考えないと」。「僕、死んじゃうんだぞ!」。

この時、大人のアダムが、子供のアダムに向かってウィンクする。それに気付いたアダムは、頭に突き付けられた銃を、瞬間的に、思い切り跳ね上げる。その瞬間銃は発砲され(1枚目の写真)、中枢部を保護するガラスの円筒に穴が開く(2枚目の写真)。「電磁密閉が侵害」との自動音声が流れる(3枚目の写真)。身に付けた磁力に引き付けられるものは、円筒目がけてすっ飛んで行く。武装兵は、全身が鉄の鎧で覆われているため、体ごと円筒に吸着する。「緊急手順を開始」との自動音声が流れ、ドアが自動ロックされる。子供のアダムは、ドローン操作用の特殊なグローブが引き寄せられた上、武装兵に捉まれ、一緒になって円筒まで飛んで行く。ロックされたドアは、ソリアンの指紋認証も受け付けない。大人のアダムとクリストスとの戦いが始まる。大人のアダムは劣勢に追い込まれる。

円筒に張り付いた子供のアダムは(1枚目の写真、矢印はグローブ)、鉄のグローブで武装兵の頭を殴り、1人になると、ガラスに吸着したブローブのお陰で、墜落せずに円筒を滑り降り、下に着いたところで、グローブから手を引き抜く。そして、床に落ちていたマグシルを起動させ、大人のアダムが床に倒れているそばにカッコよく着地し、「スパーヒーロー参上〔Superhero landing〕」と言い(2枚目の写真)、「吸入器を持った12歳のオタクにやっつけられたことは?」と、クリストスにマグシルと拳固を向け、「お尻ペンペンの時間だぞ〔Suppertime, Spanky〕」と強がるが、一発でノックアウト。それを見た大人のアダムが攻撃に転じるが、すぐに床にねじ伏せられる。しかし、幸いと言うか、危機的な損傷状態のため、一旦閉鎖された鉄製のドアが、強い吸引力で内側にねじ曲がり、先端に付いていた小さな円盤が飛ばされ、それがクリストスの顔を直撃し、彼の体は操作盤にぶつかり(3枚目の写真)、操作盤も飛ばされ、円筒を粉々に砕く。「炉心破損。原子炉の安定性喪失。避難開始。2分後に閉鎖」と、緊急通報が流れる。

そこに現れたのは、諦めきれない2人のソリアン(1枚目の写真)。若いソリアンは3人に銃を向け、ハードディスクを渡すよう要求する。ソリアンが迷っているので、業を煮やしたて中年のソリアンが銃を取り上げ、若いソリアンを中枢部の方に突き飛ばす。先頭に立つルイスがあくまで渡すのを拒否すると、ソリアンは銃を撃つが、鉄製の弾は、中枢部に引っ張られ、ルイスから逸れただけでなく(2枚目の写真)、中枢部の前に立っていた若いソリアンに向かって飛んで行く(3枚目の写真、矢印)。銃弾に心臓を貫かれた若いソリアンは、円筒にぶつかって即死し、それと同時に、未来のソリアンも 存在自体が無意味となって消える。

残り時間0となり、「隔離措置開始」とのアナウンス。ドアは開いているが、その向こうの鉄扉が閉まり始める。3人は必死に走り(1枚目の写真)、カウントが3の時、半分以上閉まった鉄扉の前に着き(2枚目の写真)、その先、破壊された通路を飛び越えて、鉄扉の向こうに着地し、その直後に、閉鎖が完了する。下層階の鉄扉の内部は壊滅状態でも、建物の他の部分は大丈夫と見えて、エレベーターは正常に作動し、3人を地上階まで無事に運び上げてドアが開く(3枚目の写真)。

帰りの道を歩きながら、ルイスは、大人のアダムに、「タイム・トラベルがなくなったら、君たち2人は、それぞれの固定された時間に戻るのかと思っていた」と話す(1枚目の写真)。大人のアダムは、「30年の変化を調整するのに、時間がかかるんだと思う」と答え、子供のアダムは、「長くはないと思うよ。何か起きそうな気がする」と言う。ルイスの家に戻ると、子供のアダムが、「僕たち、ここにいてもいいの?」と訊く。「構わん。ママは、君を、木曜の科学クラブに連れて行った」。タイム・トラベルがなくなったことで、大人のアダムは、子供のアダムに禁止していたことを破ろうとする。「なあ、俺たち、パパに話しておきたいことが」。「もう知ってる。会った瞬間に分かった」〔講義室で、子供のアダムが抱き着いた→彼が12歳なので、その前に自分は死んでいる〕。そして、さらに、「君たちの将来〔for you down the road〕を見届けてやることも、おもんぱかっやる〔given it a lot of thought〕こともできなくて申し訳ない」と謝る(2枚目の写真)。その上で、「だが、君たちは、いつ何が起きるか、言ってはならない」と釘を刺す。大人のアダム:「あんたの未来だ」。父:「違う。君たちが、私の未来なんだ。2人とも」(3枚目の写真)「それを この目で見られて、私は何て幸せなんだ」。そして、3人は抱き合う。

子供のアダムは、「パパが必要だ」と涙を流す。「パパがいなくて 凄く辛かった」。「分かるが、君なら大丈夫だ」(1枚目の写真)「元気になる」。「知らないから、そんなことが言える。何かできることがあるハズだ」。「考えがある」。そして、父は、3人によるボール投げを提案する。定位置に着く前に、大人のアダムは、子供のアダムに話しかける。「頼めるか? 俺たちが、このことを覚えていられるとは思わない。だが、ローラが言ったように、痕跡か何かが残っているかもしれん」(2枚目の写真)「その時には、俺の代わりにママをハグしてくれ。やってくれるか?」。子供のアダムは頷く。「あばら骨が折れるくらいのハグだ」。「いいよ」。「なんてこった」。「何が?」。「この30年、ずっと お前から変わろうとしてきた。だが、教えてやろう〔I'll tell you what〕。言いたくないが、お前は、俺の一番いい部分だった」。そして、3人によるボール投げが始まる(3枚目の写真)。子供のアダムが投げたボールを受けそこなった父が、ボールを取りに行って戻って来ると、2人の姿は消えていた。

そして、12歳のアダムのある朝。アダムは起きてくると、母は、たくさんの封筒を開封している(1枚目の写真、矢印はホーキング)〔停学の翌朝はホーキングと一緒に下りて来た〕。アダムは、「仕事に遅刻しない?」と訊く。「家の保険金の支払いをしないと」。「ファイル方式で? あきれた。全部オンラインでしないと。これは、あなたのパパのやり方よ。それ取ってもらえない?」〔ここまでの会話は、停学の翌朝の会話とそっくりだが、微妙な違いもある〕。アダムは、冷蔵庫を開けてオレンジジュースを出し、「ごめん。部屋に行って、自分がしたことを考えないと」と、停学の反省をするのではなく、バッグを背負いながら、「学校に遅れちゃう」と言って断る(2枚目の写真)〔つまり、アダムは停学になっていない。大人のアダムが、レイが漏らすほど脅したことの痕跡が、虐めをやめさせた?〕。「まあ、そうね。いってらっしゃい、坊や」。アダムは、学校に行きかけて立ち止る。そして、「俺の代わりにママをハグしてくれ」の頼みがどこか頭の隅に残っていたのか、しばらく考える(3枚目の写真)。そして、母に優しく抱き着き〔「あばら骨が折れるくらいのハグ」ではない〕、母は 余程嬉しかったのか、激しく抱き返す(4枚目の写真)。一方の大人のアダム。講義の途中に入って来たローラが、間違ったキャンパスの間違った建物の間違った講義に来たと知ると、話が合い、正しい場所に連れて行こうと、2人で講義室を出て行く(5枚目の写真)〔こちらも、ローラの予想通り〕

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